2018闘争、賃上げ要求基準は3年連続で「3,000円以上」/金属労協(2017年12月13日 調査部)|労働政策研究・研修機構(JILPT)

2018闘争、賃上げ要求基準は3年連続で「3,000円以上」/金属労協

2017年12月13日 調査部

[労使]

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の金属関連5産別組織で構成する金属労協(JCM、髙倉明議長)は8日、都内で協議委員会を開き、来春闘の闘争方針となる「2018年闘争の推進」を確認した。2018年闘争の賃上げ要求基準について、あいさつした髙倉議長は「金属労協が一体となって、全体が共通して取り組める要求水準として、3,000円以上の賃上げに取り組む」と述べた。

「生産性三原則の実践による『人への投資』を実現すべく取り組む」(髙倉議長)

闘争方針は、賃金の引き上げ、底上げ・格差是正の取り組みについて、「『強固な日本経済の構築』に向けた『生産性三原則の実践』による『人への投資』を実現する観点に立って、JC共闘全体で賃上げ要求を行う。賃金の底上げ・格差是正の取り組みをさらに強化する」と明記。また、「底上げ、格差是正、および日本の基幹産業にふさわしい賃金水準確立の観点から、『賃金水準重視』の取り組みを推進する」としている。2017闘争では、賃上げ獲得組合の割合が全体の57%にとどまった状況を踏まえ、「要求・獲得組合の拡大に向け、産別における取り組みをさらに強化する」と強調した。

具体的な賃上げ要求基準は、「定期昇給など賃金構造維持分を確保した上で、3,000円以上の賃上げに取り組む」と、2017年闘争と同様で3年連続して賃上げ幅に設定。あいさつした髙倉議長(自動車総連会長)は、金属産業の賃金水準が全産業平均を下回るとともに、2016年に再び低下傾向となった点や、産業間・企業規模の格差、勤労者世帯の可処分所得の回復が遅れていることなどを課題として列挙し、「2018年闘争においては、強固な日本経済の構築に向けて、生産性三原則(雇用の維持・拡大、労使の協力と協議、成果の公正な配分)の実践による『人への投資』を実現すべく、賃金の引き上げ、底上げ・格差是正に取り組んでいきたい。具体的には、金属労協が一体となって、全体が共通して取り組める要求水準として、3,000円以上の賃上げに取り組むことを提案する」と述べた。髙倉議長はまた、「経営側は国内外での競争の激化や先行き不透明感から、コスト・労務費の削減、『人への投資』を抑制してくることが予想されるが、それでは個人消費の活性化にはつながらず、経済や企業の成長を阻害する」と強調し、経営側に対して「企業の経営環境に厳しさが深まる今こそ、経営として最優先で考えるべきことは『人への投資』だ」と訴えた。

「基本賃金31万円以上」全(35歳相当)を組合が到達すべき目標基準に設定

方針は、賃金水準重視の取り組みを推進するため、絶対水準での到達基準も示した。35歳相当・技能職を銘柄とし、各産業をリードする企業の組合がめざすべき水準である『目標基準』を「基本賃金33万8,000円以上」(基本賃金は、所定内賃金から各種手当て(家族手当、住宅手当、地域手当、出向手当など)を除いた賃金)、全組合が到達すべき水準である『到達基準』を「基本賃金31万円以上」、全組合が最低確保すべき水準である『最低基準』を「到達基準の80%程度(24万8,000円程度)」と設定。各組合は自社の賃金実態を点検して水準の位置を確認し、これらの基準に向けて必要な改善に取り組む。

賃金水準の底上げを図る取り組み(JCミニマム運動)では、企業内最低賃金について、全組合での協定締結をめざし、未締結組合は協定締結に取り組むとともに、非正規労働者を含めた協定の締結をめざす。協定額は、高卒初任給準拠を基本とし、「月額16万4,000円以上の水準」をめざし、引き上げ額は「月額2,000円以上」と設定した。2017年闘争までは、その年での達成をめざす「到達基準」を提示していたが(2017年闘争では、15万9,000円以上と設定)、高卒初任給額や地域別最低賃金額が上昇していることから、「目標基準」の水準を設定することにした。

特定(産業別)最低賃金については、すべての特定最賃で金額改正に取り組むとともに、産業・地域の状況に応じて新設を検討する。

金属産業で働く者の賃金水準を下支えし、これ以下での賃金水準をなくす運動の「JCミニマム(35歳)」に引き続き取り組むとし、ミニマム水準をこれまでとかわらず「月額21万円」に設定した。

一時金については従来どおり、「年間5カ月分以上を基本」とし、最低獲得水準として「年間4カ月分以上を確保」するとしている。

36協定の限度時間の引き下げなど労働時間に関する取り組みを進める

賃金・一時金以外の諸条件については、「『良質な雇用』の確立に向けた働き方の見直し」と提起し、労働時間の短縮では年間総実労働時間の1,800時間台実現をめざす。労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が盛り込まれ、一部に罰則が適用される方向であることを踏まえ、「労使自治の下で、法の求める以上の対応を迅速に実施していく観点から、36協定の限度時間の引き下げや特別条項の限度時間の引き下げ、その厳格な運用に取り組む」としている。

闘争のもう1つの柱である非正規労働者の雇用と賃金・労働条件の改善の取り組みでは、改正労働契約法を上回る対応を積極的に行うとし、「正社員への転換を促進する」と強調。転換後の処遇については、転換後にどのような雇用形態であっても「同一価値労働同一賃金を基本」とし、均等・均衡待遇を確立していくとしている。

2016年闘争から掲げているバリューチェーンにおける「付加価値の適正循環」の構築についてはさらに取り組みを強化する。

議論では「付加価値の適正循環」、「中小が主体的に格差是正できる方針策定」などの意見

方針討議では、5産別それぞれが要望と意気込みを語り、JAMは賃金の絶対額重視の取り組み強化を表明するとともに、バリューチェーンにおける「付加価値の適正循環」の構築について「JCMが引き続き先頭に立って取り組んで欲しい」と要望した。基幹労連からは、技術・技能の高い高齢者の活用によってさらなる生産性向上につなげるため、65歳への定年延長に向けた検討をしていることなどについての紹介があった。全電線は、電線各社の企業業績が改善傾向にあることから、「労使の生産性向上に向けた努力の成果であり、適正な配分を求めたい」と述べるとともに、年間休日の1日増に取り組むと話した。電機連合からは、電機連合が賃金決定の3要素とする「生計費」「生産性」「労働市場」ともに改善傾向だとし、賃上げの流れの定着と中小にも波及させる取り組みを行うなどの発言があった。自動車総連は、前回の交渉において中小企業が資本関係を過度に意識しないで賃上げに積極的に取り組む構造転換が一定程度進んだとする一方、賃金改善が図れなかった組合があったことや業種間格差などを課題としてあげ、「特に全体感を意識して中小がより主体的に格差是正できる方針を策定したい」などと述べた。

なお、髙倉議長はあいさつのなかで、日産の無資格検査や神戸製鋼のデータ改ざんなど製造業で相次ぐ不祥事について「該当企業には、早急に信頼回復に向けて、徹底的に膿を出し切り、抜本的な改善を図ってもらうと同時に、企業行動を監視する立場にある労働組合としても、状況を真摯に受け止め、二度と同じことが起こらないように、労働組合としての関与のあり方も含め、経営に対するチェック機能を最大限発揮しなければならない」と触れた。また、神津里季生・連合会長が先の連合中央委員会で表明した連合フォーラムの結成について「金属労協政治顧問を核としながら、連合フォーラムのメンバーにも連携を広げていきたい」と話した。

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