資料シリーズ No.203
仕事の世界の見える化に向けて
―職業情報提供サイト(日本版O-NET)の基本構想に関する研究―

平成30年3月30日

概要

研究の目的

人口減少下で安定的な経済成長を実現し、国全体の労働生産性の向上を図るためには、一人ひとりが持つ能力を最大限に活かせるよう、転職・再就職など多様な採用機会の拡大を図るため、転職希望者等が持つ職業スキルや能力等を活かした就職活動や企業の採用活動が行えるよう「職業情報の見える化」を進めることが重要である。

本研究は、米国O*NETの開発と現状、職業情報をめぐるニーズ・課題等を踏まえ、提供すべき職業情報の種類、内容、情報の収集、提供方法、サイトの運営のあり方等の議論を行い、職業情報提供サイト(日本版O-NET(仮称))の基本構想について検討した。

研究の方法

職業情報提供サイト官民研究会を設置し、以下の調査を実施し、それを踏まえた職業情報提供サイトの基本構想をとりまとめる。

① 米国ヒアリング調査
米国O*NETの開発と利用の現状を調査する。

② 情報ニーズ調査(アンケート調査(量的調査))
大学生(1,424名)、社会人(1,837名)、企業人事担当者(1,319名)、高校教師(230名)、キャリアコンサルタント(326名)を対象にアンケート調査を行い、職業情報提供サイトのニーズを把握する。

主な事実発見

  1. 米国ヒアリング調査の結果、米国O*NETのコアとなる意義は、労働市場において求職者、求人者、仲介機関、教育訓練機関に対して、職業スキル等の共通言語(common language)を提供することにある。また、OOH(Occupational outlook handbook)は職業解説を提供しており、職業に関するデータを提供するO*NETと相互補完的に情報提供している。
  2. 情報ニーズ調査の結果は、以下のとおり。

    (1) 職業情報提供サイトの必要性

    キャリアコンサルタント等へのアンケート調査により、現在、適切な職業情報提供サイトがないことが明らかになった(図表1)。社会人への調査でも同様の結果がみられた。企業人事担当者への調査では、求人において「態度、行動(コンピテンシー)が業務に合うか、客観的な情報が無く、困った」「必要なスキル、能力等の基準となる客観的な情報が無く、困った」という回答が多く(図表2)、これらから職業情報提供サイトの必要性はあると言える。

    図表1 現在使っている職業情報(%、複数回答、高校教師230名、キャリアコンサルタント326名)

    図表1画像

    図表2 キャリア採用(中途採用)での問題点(%、企業人事担当者1,319名)

    図表2画像

    (注) Yes、どちらともいえない、Noの三択で、Yesの%が大きい項目から並べたもの

    (2) どのような職業が必要か

    ①信頼性・客観性のある情報(キャリアコンサルタント・高校教師、企業人事担当者)

    ②新しく、変化をとらえている情報(キャリアコンサルタント・高校教師、企業人事担当者)

    ③偏りなく多くの職業が掲載されている情報(キャリアコンサルタント・高校教師)

    ④仕事と人の対応に関する情報(「向いている仕事」、「向いている人材」がわかる情報)(大学生・企業人事担当者)

    ⑤労働市場、求人求職におけるスキル等の共通言語、共通基準としての情報(企業人事担当者等)

    (3) その他

    「調べやすさ」が必要、キャリアパス、キャリア展開の情報が不足している。

政策的インプリケーション

職業情報提供サイトの基本構想

  1. 職業情報提供サイト(日本版O-NET)のコンセプト

    ①目的:職業に求められるタスクやスキルに関する共通言語・共通基準の提供によるマッチング機能の強化

    ②サイトの位置づけ、特徴:社会的インフラとして職業情報を整備。職業情報をキャリア形成等と関連づけて説明できる専門家(キャリアコンサルタント等)の活用を促進。学生・求職者・企業人事担当者も使えるサイトを構築

    ③活用領域:就職・転職・進路指導(キャリアコンサルティング、学生・求職者の職業探索、自己分析)、企業の人事労務管理・マネジメント(必要なタスク、スキルを整理し、人事戦略に活用)

  2. 職業情報提供サイトで提供する職業情報等

    ①データの収集方法:効率化、迅速化、コスト削減を図り職業を適切に代表するサンプルを収集。

    AI等の活用を含めた情報収集を行う仕組みを検討。

    ②収集するデータ:職業数は500程度。ジョブ(職務)、タスク(課業)、スキル(技能)を定性・定量データで提示。また、キャリアパス、労働条件等の特徴、職業プロフィール、職業間移動情報など。

    ③ユーザーインターフェース:分かりやすく多様な検索機能(職業理解支援)、適職選択ツール(自己理解支援)、マイページ機能、蓄積情報のダウンロード機能・API連携機能(民間への提供、活用促進)など。

    ④その他:他サイト(ハローワークインターネットサービス等)との連携、広報・普及活動の促進など。

政策への貢献

この基本構想をもとに、2018年度は厚生労働省において日本版O-NETの構築に向けた調査・分析等を行う。

本文

本文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

プロジェクト研究「全員参加型の社会実現に向けたキャリア形成支援に関する研究」
サブテーマ「職業情報、就職支援ツール等の整備・活用に関する研究」

研究期間

平成29年度

執筆担当者

上市 貞満
労働政策研究・研修機構 統括研究員
鎌倉 哲史
労働政策研究・研修機構 研究員
松本 真作
労働政策研究・研修機構 特任研究員
木村 知宏
労働政策研究・研修機構 研究助手

関連の研究成果

入手方法等

入手方法

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お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263 

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